推し紹介

【春、戻る】お兄ちゃんを名乗る世紀の人たらしボーイに魅せられた!

春、戻る:お兄ちゃん
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とんこ
とんこ
母性本能をくすぐる!?守ってあげたくなる年下わんこ男子を崇め奉れ!

作品について。

本日紹介する作品はこちら!瀬尾まいこさんの春、戻る

結婚を控えている主人公さくらの前に突然兄を名乗る年下の青年が現れる—そんな物語です!

本作品は集英社文庫がお送りしているナツイチ2022で限定カバーが発売されており今回手に取りました!

瀬尾まいこさんの作品は今回が初めてです。

積読している「そして、バトンは渡された」の人だなーと言うくらいの認識でしたが、瀬尾まいこさんの柔らかな文体が非常に読みやすく、すぐに別作品を!と感じています。

「うわ、さくら。久しぶりじゃん」
「えっと、あの、どちら様でしょうか?」
「どちら様って、うそだろう? お兄ちゃんだよ、お兄ちゃん」

そう、主人公のさくらには妹が一人いるだけでお兄ちゃんなんていないのである…!!!

こんな気になる冒頭。お兄ちゃんの正体は誰なんだ?とサクサクっと読みきってしまいました。

正直冒頭はずっと頭の中にハテナが浮かんでいるけど不思議とどんどん読み進めてしまいます…!

どこか憎めない性格・正体不明のお兄ちゃん。

いやいやいやいや、急に女性の前に「俺だよ俺!!!お兄ちゃんだよ!!!!」なんて年下男性が現れたら一発で通報ものなんですよ。

でもこの自称お兄ちゃん、相手が誰であろうと懐に入り込む天才なんですね。

そんなお兄ちゃんの天才ぶりが遺憾なく表現しているシーンを紹介しましょう。

「思い出せなくたってしかたないよ。前にここで一度会っただけだもん」
 男の子はおばあさんを慰めるように、さっぱりと言った。
「ああ、そっか。誰かと思いながら話してたけど、昔ここで会ったんだ」
「そう。二年くらい前に、このベンチで話したんだ」
「何だかそうだったね」
 私は二人のやりとりにくらくらした。家の事情まで話していたのに、二年も前にたまたま言葉を交わしただけだったとは。

コミュ力お化けかよ。

さくらがお兄ちゃんの正体について少しでもヒントが欲しい!と後をつけていると、バス停のおばあちゃんと急に仲良く話し始めるやんけ!なんやねんこれ!ワレ!というシーンです!笑

でもさ、いるよねこう言う人。
名前も顔も知らないけど、初対面じゃないような気持ちにさせるような人。

僕自身めちゃくちゃコミュ障でしょうもないほどに陰キャなんですが。。
そんな僕でも初対面で何時間も話し込んでしまった相手が過去に数人いました。

やはり自分に持っていないものを持っている人には惹かれてしまいます。

人間誰しも踏み込んで欲しくないパーソナルスペースを持っていますよね。僕も何となくですがここまで踏み込まれたら嫌だなと思う領域というのは少なからず存在しています。

いるんですよ。このパーソナルスペースにずけずけ土足で踏み込んでくる人!!
でもこのお兄さんはそんな暴挙に出ても拒絶されない人類誰しも羨むウルトラスーパーミラクルなキャラクターをしているわけですね。

物語が進むのに比例してお兄さんをどんどん好きになっている自分がいました。

まさか読者のパーソナルスペースにも入り込んで無理やり好きにさせるとは、読者泣かせの男ね!!!!

とんこ
とんこ
こういう人が近所のお兄さんにいてほしい

てるる
てるる
それな

完璧に見えるお兄ちゃんの不器用さと一生懸命さにきゅん。

出だしから好調に飛ばしてくれているお兄ちゃんですが、もちろん彼も人間なので完璧ではありませんでした。

実は人一倍怖がりでいたり、不器用でいたり、思い通りに進めることができないなんてことも多いわけですよ。
だけど持ち前のバイタリティで一生懸命乗り越えていく。そんな性格です。

そんなお兄ちゃんの不完全さが目立っているシーンを紹介します。

ひょんなことから主人公さくらと結婚相手・山田さん、そしてお兄ちゃんの三人で遊園地に行くことになります。

お兄ちゃん邪魔くさ!!!!とさくらも読者も総ツッコミしているのをフル無視してお兄ちゃんは遊園地をバカほど全力で楽しむわけですね。

そんな遊園地の帰りのシーンです。

「お兄さんはサービス精神旺盛ですね」
 山田さんは、帰りの車で熟睡しているおにいさんをミラー越しに見ながら言った。
「そうでしょうか」
「そうですよ。ガイドブックまで持ってきてるなんて。きっとみんなで楽しめるようにいろいろと考えてくれてたんですよ」
 後部座席には、今日行った遊園地が特集された雑誌が転がっている。「必勝! アトラクションを効率よく回る方法」。私は雑誌を取り上げてパラパラめくってみた。観覧車以外は、雑誌のアドバイスどおりだ。

なんだよ…
邪魔とか言って悪かったよ…

みんなに楽しんでもらえるように一生懸命用意していたんだ…

ほんでその現場にガイドブックを持ってきちゃうドジまでして帰りの車で爆睡してバレてしまうなんて可愛いところあるじゃんか。。

結局我々は不器用だけど一生懸命というステータスの前には平伏すしかなかったんだな—サンキュービューティフルワールド…

終わりに。

正直言って、本作品の設定普通に考えて無理があるんですよ。

昨夜未明「連日ストーカーに声をかけられる」との通報があり、◯◯に住む会社員の男性をストーカー規制法違反の疑いで逮捕しました。
調べに対し容疑者は「兄と述べて近づいた」と容疑を認めており—

現実ではこんなことになりかねん!!!!

ですがそんな違和感も気にならなくなるくらい、この自称お兄ちゃんイイんですよ!!!
主人公さくらを思いやる気持ちとか不恰好だけど一生懸命な姿がさくらをはじめとするみんなの心を動かしているのではないかと思います。

そして何よりも、お兄ちゃんの正体は誰なのか。
全く知らない人だったのか、本当のお兄ちゃんなのか。彼の正体を知るためにも是非皆さんには手に取ってほしいです。

登場人物みんなが温かく嫌味な人間は出てこない優しい物語です。

僕はこんな人たらしになりたい。そう思えるお兄ちゃんでした。

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とんこ
本の感想や意見を書くのは苦手ですが、好きになった登場人物について語るのが大好きです。 元気に推しを布教していきます。