推し紹介

【手のひらの京】結婚に焦りを見せる長女の可愛さを布教したい。

手のひらの京:奥沢綾香
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とんこ
とんこ
しっかりさと時々見える可愛さ、最強。

作品について。

新潮文庫の100冊の季節です!

と言うわけで、今回ご紹介する本は綿矢りささんの手のひらの京
「新潮文庫の100冊」の中の1冊で、表紙のイラストに吸い込まれて購入しました。

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綿矢りささんといえば「インストール」や「蹴りたい背中」が有名ですかね。
インストールは未読ですが、蹴りたい背中は学生時代に読みました!

個人的なイメージではありますが、綿矢りささんが描く女性はどこか癖があり、一筋縄ではいかないレディたちにいつもニンマリさせられます。

今回ご紹介する作品は、京都に住む三姉妹を中心に描かれています。

結婚に焦りを感じる長女・綾香。
負けず嫌いの次女・羽依。
密かに上京を夢見る大学院生の三女・凜。

三姉妹それぞれの幸せ、苦しみや葛藤など。
さまざまな心の変化が繊細に表現されており、読みながら一緒に嬉しくなったり、一緒に悲しくなったり、ハラハラしたり。とても感情が動く作品でした。

しっかり者の長女に最短距離で恋に落ちる。

「おかえり。トマトとマッシュルームは買ってきてくれた?」
 料理の際、家庭内で唯一きっちりエプロンをつけて髪をまとめる綾香が、手を動かしながらふりむきもせず凛に尋ねた。

あーはいはい出ました出ました。私の嫁候補確定演出ですね。
読み始めて1分、最短距離で私は恋に落ちました。

今回の推しは料理のできる長女レディです。
人に話しかけながら料理を続けられるって作業に慣れていないとできない所業…!

そしてわざわざエプロンを着用する点、しっかり髪を纏めて衛生管理を怠らない点。
どれをとってもミスパーフェクトです。あまりにも芸術点が高すぎる。

この長女・綾香の最大の推しポイントは、結婚に対して若干の焦りがある点です!!!!

冒頭では三姉妹の母が「主婦としての定年を迎えましたので…」と、三姉妹の面倒を見る役目の引退を宣言します。
そこから三姉妹が交代制で晩御飯を用意するようになるのですが、次女と三女は料理があまり得意ではない上に仕事や学業で忙しく、長女の綾香がお願いされるようになりました。

流石の聖女綾香ちゃんもタダで引き受けるわけはなく、一回三百円を徴収するようになりました。
それを次女と三女は夕食税と呼んでいるのですが、ここのエピソードがあまりにも可愛すぎるのでご紹介させてください。

 以前食事の場で羽依が「将来のための結婚資金か」と綾香をからかったところ、顔を真っ赤にして怒ると言う本気の反応が返ってきたので、以降奥沢家では夕食税の行方に対しての質問は禁句になった。

(超小声になるけど…からかった羽依ちゃんに賞賛を…!)

きっと本人は気にしないように気にしないようにしてるんでしょうね。
でもこういったデリケートな部分については急に爆発してしまうことってありますから。

あと、綾香ちゃん本人は「てめーのためにやってんだよ!!!どの口で私をからかうか!!!!」と言う気持ちもきっとあったのでしょう。

この一連の流れがパーフェクトすぎて綾香ちゃんが可愛いのはもちろんだけど、この三姉妹のポテンシャルの高さにどんどん引き込まれていきました。

とんこ
とんこ
クセの強い三姉妹…ふんっ、おもしれー女たち。

僕と感性がそっくりな長女にくびったけ。

いつも通り軽率に惚れてしまった僕ですが、「あれ、僕のことを書いてる?」と思うくらい感性が似ているなと思うシーンが何度もありました。

ページが進むのと比例して、共感し、深まっていく愛。
僕はどうやらラブスパイラルの中に閉じ込められてしまったようです。

てるる
てるる
ラブスパイラル、とは?

話を戻します。
共感したシーンを2つピックアップして紹介します。

まず初めに紹介するシーンはこちら。

 綾香はがんばっていると、だんだんミッフィーの顔つきになってくる。もともと色白でちょっと四角い大福顔につぶらで真剣な瞳、きゅっと引き結んだ小さな唇を合わせると、口をばってんで表したあのうさぎのミッフィーそっくりの面相になる。ミッフィーは姿見を見ながら着物の衿を合わせていたが、不意に何もかも嫌になってしまい、帯締めを解いて着物を脱いだ。

なんだこの子、天使か。

ミッフィーになっちゃうと言うベストオブキュートは今回は触れません。
各自、可愛さを噛み締めておいてください。

今回フォーカスするのは、不意に何もかも嫌になってしまうと言う点。

分かる!!!!!!!!!!!!!

僕も急にスイッチがオフになったかの如く、やっている作業が急に全く手につかなくなり嫌になることがあります。

そして次に紹介するシーンは、仕事帰りにふらりと祇園祭に寄った綾香ちゃんです。
一人で来てしまったのも運の尽き、全く楽しめないわけですね。

知り合いになんか会いたくないと思っていたけど、結局知り合いに会ってしまいます。

「あーあ、なんで会ってしまったんだ…一人なの見られたくないのに…」と最初思っていたけど、一緒に祭りを回ろうよと誘ってもらえた綾香ちゃん。

なにより、彼女らと話した途端、周りのざわめきが、祭囃子が、急に鮮やかさを取り戻して、喉がカラカラの時にレモン入り炭酸水を飲んだみたいに世界が広がった。こんなに楽しげな空間に、いままで私はいたのか。やっぱり祇園祭は人と来るもんやなぁ。

なんだこの子、天使か。

いや、可愛いのは大前提。
ここのシーンに関してものすごく共感しており。

一人で心細い思いをしているときに、「あれ?久しぶり!」なんて声をかけられたらめちゃくちゃ尻尾振って喜んでしまうわけですよ。このシーンのわかりみが強すぎました。

そして、ここの描写があまりにも素敵ですよね。
想像力の欠如した僕ですが、ここの文章を読んだ時同じ思いをした過去の自分が鮮やかにフラッシュバックしました。

以前の推し紹介で何度かお話ししたかと思いますが、やはり人間共通点を発見すると親近感が湧くものです。
他にも細かい描写ですが共通点が星の数ほどあり、シンプルこんなに共通点のある登場人物は今までいただろうか。いや、いない。

終わりに。

綾香ちゃんに恋するにはあまりにも十分すぎるほどの推しポイントが散りばめられていました。

もちろん、綾香ちゃん以外の姉妹についても同じです。
一癖ありつつもめちゃくちゃ魅力的なキャラクターでした。

そしてずっと触れないように我慢してきましたが、京都の言葉があまりにも可愛すぎる…!

まだ一度しか行ったことない京都ですが、旅行した気分になるにはちょうどいいほど京都を感じることができました。

京都を中心に描かれる三姉妹の心温まるエピソード、よければ体験してみてください!

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とんこ
本の感想や意見を書くのは苦手ですが、好きになった登場人物について語るのが大好きです。 元気に推しを布教していきます。